同潤会アパート在住


『沼さんは生きている』

ソノブックス臨時増刊(昭和35年11月)






社会党委員長浅沼稲次郎追悼のソノシート。私が買った物には、同時期の朝日ソノラマの追悼特集のソノシートも入っていた。シートは二枚、日比谷公会堂での横死当日の演説と、その五日後の追悼集会での享子夫人の挨拶である。享子夫人は、挨拶の中で、演説会当日、演壇の後ろにいながら何も手助けをしなかった池田勇人首相を批判し、これが池田氏の政治の本質を表していると言っているが、それは感情的には解らぬ事もないが、若干違うような気がするのだが・・・
ライナーには深尾須磨子の詩と、江田三郎・中島健蔵の追悼文が載っている。後に社会党を飛び出す事になる江田(五月の父っつあん)は、総選挙を間近に控えて亡くなった浅沼を悼みつつ、社会党への投票を呼びかけている。
ディズニー映画『百一匹わんちゃん』でブルドッグの声を演じた事もある浅沼の野太い迫力ある声音を聞いていると、現在の政治家にはいなくなってしまった野人の風格を持った人だったのだなあと思う。  しかし昔のNHKのアナウンサーの口調は余りに千篇一律で面白いなあ。浅沼委員長が刺されて壇上が大騒ぎになっている時も、『浅沼さんに、傷を負わせたようでございますので、しばらくこのままでお待ち願います』って、丸っきり冷静な口調で喋っているのは、さすがプロと言うべきなのか・・・政治家も変わったけれど、アナウンサーもどんどん色物化しつつある現在では考えられん。


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