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アノネオッサン、ワシャカナーワンヨ


高勢実乗『オッサンの森の石松』

キング 46015






『アノネオッサン、ワシャカナーワンヨ』の珍フレーズで戦前に一世を風靡した、珍優・高勢実乗のレコード。この人の演技、私はもちろん映画でしか見たことがないが、やけっぱちの爆裂したアナーキーさが素晴らしい個性である。戦後すぐの斎藤寅次郎監督の傑作・『東京五人男』では、戦後一躍成金となった強欲な農民の役を熱演している。古川緑波が、長男のために田舎に買出しに来て高勢の所に行くのだが、高勢のオッサン、スーツ姿で畑で肥タゴかついでいるのだから凄い。しかもその息子は、何故かピアノの鍵盤の上を裸足で歩き回っている(^^)。酷い成金一家だ。他にも『エンタツ・アチャコの新婚お化け騒動』で、後半にエンタツ宅に忍び込む泥棒役、『国士無双』で、片岡千恵蔵の偽殿にコテンパンにやっつけられる伊勢伊勢守役などが印象深い。とにかくこの人が画面に登場すると、一気に画面が濃ゆく見えてくる。戦前のコメディアンとしては珍しいタイプである。何しろ、他の役者をまるで食ってしまうんだから。共演者には嫌がられただろうなと思う。
さて、肝腎のレコードの内容は、浪曲の『石松三十石船』の有名な場面を、室町京之介がコント風にアレンジしたものである。ただし石松を演じても、高勢の口調はいつものオッサンの横柄な口調のままであるから、余程変である。こんな威勢の悪い石松は聞いたことが無い。『サアサア、すーしーを食ーいねえー』って、偉そうな石松・・・


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