バッチーバーバーバッチーバーバー


若水ヤエ子とひまわりキティーズ
『かあちゃんと子供のアンダンテ・カンタービレ』

ポリドール DR 1579






東北弁の訛りを売物として、昭和40年代の喜劇映画で活躍した若水ヤエ子の(私が知る限り)2枚のシングルの内の1枚であり、代表作である。この曲は、同年ヒットした、『老人と子供のポルカ』(左卜全とひまわりキティーズ)と同じ作者(早川博二)、同じレコード会社(日本グラモフォン)である。『老人と〜』のヒットにより、珍優にコミックソングを歌わせるのがどうやら流行したらしい。ミノルフォンからは、『上吉・豊子のハレンチアモーレ』(上田吉二郎・武智豊子)、グリーンシティレコードからは、『運ちゃんのサバドビア』(清川虹子・中沢信一)などの信じられない珍曲が発売され、元祖・左卜全も、第2弾シングル『拝啓天照さん』を発売した。これも早川博二の作詞作曲であり、コミックな中にも世相風刺を露骨に取り入れている点は、『老人と〜』と一緒である。そしてこの特色は、『かあちゃんと子供のアンダンテ・カンタービレ』(長いので以後かあちゃんと略す)にも踏襲されている。
『老人と〜』の1番は、皆さんご存じの通り、『やめてけれ やめてけれ やめてけーれゲバゲバ』である。2番では『ゲバゲバ』の部分が『ストスト』、3番では『ジコジコ』に変わる。ゲバにストにジコ、如何にも70年代初頭の社会問題が扱われている。一方『かあちゃん』では、環境汚染と、物価上昇をテーマにしている。歌詞は『老人と〜』よりさらに単純で、2番のひまわりキティーズによるコーラスは、『ジョーショーブカブカジョーショーブカブカ』と、あまりにもそのままである。しかしメッセージが全面に出過ぎていて、『老人と〜』程にコミックソングとしていい出来ではない。むしろ、B面の『東北流れ者』(『関東流れ者』の替え歌)の方が、若水の泥臭く些か下世話なキャラが引き立っていて面白い。最後の『ほんじゃあギットバイ! ウヒハハヒヒヒ』という怪鳥音にも似た笑いが、記憶に焼き付いて離れない。なお『かあちゃん〜』は、東芝から通信販売で出ているCDセット・『笑ケース』に収録されていますので、興味がお有りの方は是非どうぞ。


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